保健所の立入検査で指摘されやすい7項目
営業許可が下りても、そこで終わりではありません。温度記録、手洗い設備、食材の表示——定期検査で指摘される頻度が高いのはこのあたりで、その多くは「できない」ではなく「やることを知らなかった」です。
営業許可が下りると、これで一区切りと考える方が多くいます。 ただ許可は「開業時点の設備が基準を満たしている」ことの確認であって、 その後には定期的な立入検査があります。そこで見られるのは日常的に決められたとおり運用できているかです。
指摘を受けるのは、設備が足りないケースよりも記録が必要だと知らなかったケース、 あるいはやってはいるが痕跡が残っていないケースが大半です。 以下は確認されることの多い項目です。
1. 温度記録
冷蔵庫・冷凍庫の温度は定期的に確認し、記録を残す必要があります。 検査で「温度記録はありますか」と聞かれて答えられない、というのは よくある場面です。
重要なのは高価な温度計を買うことではなく、毎日誰かが見て、誰かが書くことです。 冷蔵庫に貼った紙の記録表で十分に足ります。
2. HACCPに沿った衛生管理計画
2021年6月から、「HACCPに沿った衛生管理」がすべての食品等事業者に義務化されています。 小規模な店舗には簡略化されたアプローチ(手引書ベース)が認められていますが、「計画書がある」「実施記録がある」の2点は避けられません。
3. 手洗い設備
手洗い専用の設備があるか、石けんや拭き取り用のペーパーが備えられているか。 「洗い物用のシンクで手洗いも兼ねる」は典型的な指摘事項です。
4. 食材の保管と表示
- 開封後の食材に表示があるか(開封日など)
- 生食用と加熱済みが分けて保管されているか
- 地面への直置きがないか(床から離して保管する)
- 消費期限・賞味期限の管理方法
5. 従業員の健康管理
健康状態の確認記録があるか、検便を実施しているか。 頻度や対象は所轄保健所の指導によるもので、地域ごとに異なります。
6. 有害生物対策
防鼠・防虫の措置とその実施記録。 駆除業者の作業報告書を保管しておけば、それが最も直接的な証明になります。
7. 食品衛生責任者の設置と掲示
施設ごとに食品衛生責任者を1名置き、資格者証を店内の見やすい場所に掲示する必要があります。 担当者が代わったのに掲示が更新されていない、資格者証が引き出しにしまってある—— どちらも指摘されます。
共通点:すべて「記録が残っているか」
まず取りかかれること
書き写して厨房に貼る
新規開業の店舗には、開業後しばらくして立入検査が入るのが通例です。 指摘されてから動くより、開業前に上記を一通り確認しておくほうが確実です。分からない箇所は保健所に直接電話して聞いてください。 彼らの立場は処罰ではなく指導であり、聞いて不利になることはありません。
※ 本記事は一般的な説明です。具体的な設備基準、記録方法、検査項目は各都道府県の条例で定められており、全国一律ではありません。開業前後に必ず所轄の保健所にご確認いただき、その指導に従ってください。